下北沢トモクリニック ニュース(季刊) <第6号>

2006年7月31日発行

【ご挨拶】
経済協力開発機構(OECD)が6月に発表した統計では、医療支出全体に占める「予防」についての費用が 2003年時点で、日本は2.2%と、主要国の4〜5%に比べて著しく低いことが明らかになりました。 「予防」とはインフルエンザの予防接種やがん検診を指します。高齢者のインフルエンザの予防接種に 関しても日本の43%に対して、英国は71%、米国は65.5%と大きな差があります。 副作用を気にする国民性と、公的補助が他国に比較し低いことが原因と考えられ、 病気の治療に関しても同様の傾向が見られます。副作用を気にして、できるだけ薬は飲みたくない 心境は良く理解できます。薬の副作用に関してはマスメディアの影響もあり、あたかもすべての人に 副作用が出るかの如く報道されることがあります。
昨年は大きな電車事故があり多くの人が亡くなりました。科学が万能で無いことを理解していますが、 我々は、好むと好まざるに関わらず、その恩恵を受けています。特異体質によるアレルギー反応は 別として、医薬品による副作用の多くは軽度であり、稀に発症する重篤な副作用に関しても、 定期的検査により、そのほとんどが回避可能です。副作用を心配し過ぎることは、事故があるから といって電車や車に乗らないことに通じます。科学や医療の進歩は我々の寿命を延ばし、生活を豊かに してきました。魂を取られる魔物として、写真機を恐れた時代には逆戻りしたくないものです。
                         院長 村上知文

今年の4月から、たばこがやめられず、ニコチン依存症と診断された人に対する禁煙治療が、 保険医療の対象に加えられました。禁煙治療が保険給付の対象に加えられたのは、喫煙が「ニコチン依存症」 という「病気」であることが医学的に認められたためです。先進国に比べ、日本の喫煙者数はなかなか減りません。 その一因に、たばこの害に対する無知があります。たばこの煙には、ニコチン・タールといった、 有害物質以外にも、200種類以上の有害物質と、確認されているだけで約60種類の発がん性物質が 含まれています。喫煙者が、がんで死亡する率は、多くのがんで、1.4倍から32.5倍に上昇します。 肺がんだけではなく、喫煙と直接関係なさそうに見える、膵臓がんや膀胱がんなどの危険性も高めます。 また、たばこから立ち上がる副流煙にはさらに百数十倍の有害物質が含まれており、ベランダや換気扇の下で 吸っても、受動喫煙の影響は免れません。喫煙する夫を持つ奥様の肺がんの発生率は、喫煙しない夫を持つ 奥様の約1.5〜2.3倍と言われています。夫婦ともに喫煙する場合、危険性はさらに上昇します。愛煙家が 「タバコを吸うとリラックスできる」というのは、ニコチンの禁断症状が取れてリラックスした気分になるからで、 喫煙行為は中毒患者が一時的に禁断症状をしのぐ行為に他ならないのです。また、たばこをやめると太ると考えて いる人も多く見られます。たしかに2kg程度の体重増加は良く見られます。これは、本来の健康な体重に戻った ]と考えるべきで、禁煙による体重増加では、内臓脂肪はつきにくく、コレステロールの値も改善される傾向が あることがわかっています。従業員の健康管理に力を入れ、会社を上げて禁煙指導に取り組む企業も増えています。 健康なら、生産性は向上し、会社の業績にも跳ね返るといった、「ヘルシーカンパニー」の考え方が広まってきた からです。この機会に、禁煙を考えてみてはいかがでしょうか。

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